ブラインドタッチと僕のもげた薬指と小指のことを語る前に、なぜ僕が突如として一週間前からブラインドタッチを習得したいという思いに至ったかを整理して考えたい。

還暦を迎え、酸いも甘いも経験されている全国12名前後の皆様なら、すでにご存じかも知れないが、僕は昨年、珍遊記という映画の脚本を担当させて頂いた。

旧知の仲の松原秀という男と二人での脚本担当だったわけだが、その作業過程はというと、まずは僕が手書きでノートに大雑把に書いたものを、松原がパソコンに打ち込みながら、添削、編集していくというものであった。

無論、申し訳ないことに、松原にかかる負担は非常に大きく、ノートに手書きで数百枚という過酷な労働を強いられた僕の人差し指と親指は完全にもげた。

※  松原に関しては、当時、負担をかけたことに感謝と申し訳ない気持ちを抱いていたが、彼はその後、おそ松さんの空前のヒットで莫大な富と栄誉を得ることとなり、今現在、僕は彼に対して激しい嫉妬心しか持ち合わせていない。


完全にもげきり、明後日の方向を向いている自らの人差し指と親指を眺めながら、およそ1年前の僕は深夜のファミレスで一人考えた、これはどうにかしなければならない、と。

長めの文章を書くお仕事を頂ける度に指がもげているようでは、今後の人生、生き永らえることもできない。
原稿だって偉い方にデータで送るのだ。
よし、完全に疎かったパソコンを覚えよう。
しかし、そんなお仕事、今後もまた頂けるのだろうか?いや、これから頂くために、頑張るのだ。

そんな葛藤の末、昨年末、僕はMacBook Airを手に入れた。
そして、今考えただけでも血の気のひくような、あの恐ろしい現象が起こった。

MacBook Airを持っている、という事実だけに酔いしれたのである。

ベタに、大して活用もできないのにカフェに持参して渋くデキル風に、カパっとかいって開いてみたり、自宅ではなんだかよくわからないけど、ウェットティッシュで何度も拭いたりした。

しかし、実際にはユーチューブを見るだけであった。
80年代のプロ野球選手のホームラン集を見るだけであった。

せっかくの代物が台無し、宝の持ち腐れとはこの事か、僕は大いに胸を痛めた。

なにか勉強しなければ…その想いばかりで日々は残酷に過ぎていく。
ワードはマックだとあれだから、別に圧縮とかしてアレとかでいいんじゃないですか?だとか、さっぱり意味のわからん話をしてくる後輩なんかもいたりいなかったりした。
ドヤ顔で専門用語を用いて説明してくる後輩に対し、まずその用語がわからねえんだよ貴様をまずは圧縮してやろうかと逆恨みしたりもした。

そんな錯乱状態に陥った僕が出した考えは、実にシンプルに、ブラインドタッチできたらきっと早いし便利だし、スタバとか行ってもぱかっとかいって、おすまし顔で蓋開けんじゃね?というものであった。

具体的にお勉強できる!
目の前に一筋の光が差したような気もしたし、逆に40歳手前でブラインドタッチを必死に覚えるというのも、決してそんな事はないんだろうけども、少し滑稽な気がした。

そんなものは必要ない、と言い切る周りの人間も少なくなかった。
いや!
40際手前で覚えるなんて逆に素敵なことだ!
還暦近い全国12名前後の皆様に勇気を与えるためにも、必ずサラサラサラサラ~っとカフェでブラインドタッチをするんだ!

そんな具合に一週間前から僕はブラインドタッチの練習を開始したのである…。





しかし、皆様…皆様って、これできるんですか?
私、もう、薬指と小指がもげかかっているんですけど。
PとかWとか、すぐもげそうになるし、Pとかほとんど使わないよ!なんて言われましたけどウチのチワワの名前ピノコですし。
なんか我ながらリハビリみたいになってますよ、異常に遅いし間違えるし…。
だいたいブログを再開した理由もその練習を兼ねてっていうのがあったのですが、これ、正直、携帯で書いてますし。
だって、なんかパソコンで書いたら、こう、せっかく覚えた物が中途半端に抜けていってしまうようで怖いというか、完全に本末転倒ですよね、そもそも、これブラインドタッチで書いたら500時間くらいかかりそうですし…。

なにが言いたいかと申しますと、皆様、これ、どうやったらうまくなるんですか??というか、私もいつかできるようになるんですか?あーいうカフェの人達みたいに?不安しかねえです!
でも頑張ります!!


{A95602F2-0043-41A6-A8D3-62EF2DADD858}

※写真は「ジャングルの王者ターちゃん」のアナベベのように、急に億万長者になった松原秀